自動車業界の品質保証基準は年々上がっています。そのため、ドイツの自動車部品メーカーであるPeter Wahl Metall- und Kunststofftechnik社などの部品メーカーでは、測定の実行にさらに時間と労力が必要になっています。増大する品質保証の作業負荷に対応するために、同社はZEISS ACCURAマルチセンサ測定機を購入しました。これにより、測定プロセス全体を大幅に高速化することができました。
ZEISSの光学式センサで自動車産業の測定プロセスを高速化
課題:測定ジョブ数の増加
「測定にかかる時間はますます増えています」と、Peter Wahl GmbH&Co. KGのマネージングディレクターであるPeter Kerber氏は述べています。最初のサンプルテストに合格したら、数年にわたって自動車メーカーがその部品を受け入れてくれていた時代は過去となりました。現在、Wahl社のようなサプライヤーは、再認定検査の一環として個々の部品が顧客要件を満たしていることを毎年証明する必要があります。結果として、初期検査とランダムサンプリング検査に加えて、より多くの時間と労力が必要になっており、Wahl社では毎年合計約5,000時間が測定作業に費やされています。
ソリューション:光学式測定を増やす
同社の経営陣が、従業員と測定機を追加する必要があることを把握したのはすぐでした。ZEISSの接触式および光学式センサを搭載した座標測定機ACCURAのデモを見てすぐ、品質マネージャーのWilli Sauer氏は決心していました。ZEISSシステムを採用すれば、会社は必要な柔軟性を得ることができます。この測定機は接触式センサに加えてLineScan光学式センサで使用できるよう設計されているためです。しかし当時、この測定機とセンサはまだ開発の途中でした。そのため、決して大企業ではないこの企業がパイロットカスタマーとなったのです。「この測定機の採用は即座に決めたのですが、このことを後から後悔したことはありませんでした」と、2年後、この品質マネージャーは述懐しました。「この測定機のおかげで、以前は処理できなかった測定作業を行うことができます」
“「接触式測定システムを使用しても、必要なエリアに常に到達できるとは限りません」“
Peter Kerber, Managing Director
利点:素早い品質保証
接触式測定技術と光学式測定技術は相互に補完し合うため、Wahl社では個々の測定をより迅速に実行できるようになっています。たとえば、コンバーチブルの屋根のテンションレバーに必要なすべての寸法の取得に、接触式センサでは45分かかっていました。現在、接触式測定を使用しているのは特定の機能のみで、残りは光学式測定技術が使用されています。その結果、必要なすべての図面寸法と、金属プラスチック化合物部品の他のすべての形状と位置の公差を、わずか20分で取得できます。LineScanセンサは、同社に別の面からも利点をもたらしました。「接触式測定システムを使用しても、必要なエリアに常に到達できるとは限りません」と、Kerber氏は言います。その場合、部品の形状に関する有用な情報は、表面全体を測定することによってのみ得られるのですが、これは、ZEISSLineScanによって可能になるのです。
Peter Wahl GmbH&Co. KGは現在、設計段階からツールおよびプロトタイプの構築、そして製造まで、自動車部品のプロセスチェーン全体が事業の対象です。同社は1962年に専用工具メーカーとして操業を開始しました。それ以来、ドイツのバイエルン州北部にあるクロイツヴェルトハイムの拠点で事業の拡大を続けています。従業員は約350人で、自動車産業用の金属およびプラスチック部品や、金属とプラスチックの複合部品を開発および製造しています。それでも、ツールの開発と生産が会社の重要な柱であり続けています。サンプルプロトタイプから自動車部品の70,000個/週までと、幅広いバッチサイズに対応しています。