ドイツのバイエルン州ロディンにあるStangl&Co. GmbHは、世界中からの注文に応えて、プロトタイプや少量のバッチを高い精度で、かつわずか数日で製造しなければならないことが珍しくありません。過去数か月間、同社は製品の品質を保証するために、ハイエンドの座標測定機であるZEISS XENOSを使用してきました。ZEISS XENOSを導入したヨーロッパで初の企業であり、2014年発売のこのZEISS座標測定機に投資した研究所や研究機関の仲間になったのです。
ZEISSのハイエンド座標測定機によるプロトタイプおよび少量生産製品の品質管理
課題:測定負荷の大幅な増加
大量生産の立ち上げ時は、複数の調整ループを行って、機械をメーカーの要件に対応させることができますが、プロトタイプでは最初から許容範囲内に収めなければなりません。「これは、良質なミステリーのように、製造工程を考えなければなりません」と、Andreas Löffler氏は言います。Stangl&Co. GmbHのこの産業エンジニアは、品質および工程管理を担当しています。許容範囲内にない課題が1つだけのない場合、企業は、個々の部品の相互作用を計算したり、他の領域で調整を行って望まない影響を排除したりするなどして、原因の発見に多くの時間と労力を費やすことを余儀なくされます。「つまり、貴重な開発時間を浪費する多くの作業が発生するのです。これは、グローバルに競争したい場合には持ちたくない時間です」とLöffler氏は言います。これが理由で、プロトタイプの構築中に測定に費やされる時間とリソースが過去5年間で10倍に増加しました。さらに、これで終わりではありません。「測定結果の文書化に対する要件は、測定自体に必要な労力に比例しています」
ソリューション:ZEISS XENOSを用いた信頼性の高い測定
ワークが仕様どおりに製造されたことを顧客に対して示すため、Stangl&Co. GmbHは、非常に厳しい精度要件があった場合は外部のサービスプロバイダーに委託していました。このサービスプロバイダーでは、製造されたプロトタイプをZEISS PRISMO ultraで検査しています。「工程はいつでもスムーズに進みましたが、柔軟性に限界がありました」とLöffler氏は言います。結果をより迅速に取得し、品質保証の面で競合他社に勝つために、決して大企業ではなかったStangl&Co. GmbHでしたが、ヨーロッパのメーカーでは初めてZEISS XENOSを購入しました。「これにより、精度の面では、私たちは好調な出だしとなりました」と、同社のマネージングディレクターの1人、Stefan Kulzer氏は言います。
"「プロトタイプの構築中に測定に費やす時間とリソースは、過去5年間で大幅に増加しました。ZEISS XENOSを使用することで、次に何が来てもまったく問題なく対応できます」
Stefan Kulzer, Managing Director
利点:トラブルシューティングの短縮
ZEISS XENOSの、測定範囲1立方メートルにおける長さ誤差はわずか0.3マイクロメートです。この高レベルの精度のおかげで、Löffler氏と彼の同僚は、ワークのクランプが真円度エラーを起こしているかどうかを判断できます。「これにより、トラブルシューティングを非常に素早く行うことができるようになり、結局は工程全体が最適化されます」と、この品質エンジニアは言います。また、同社にとってありがたかった機能がもう1つありました。それは、機械のリニア駆動です。このおかげで、XENOSでの測定をより迅速に行うことができました。測定プロセスをさらに高速化するために、ZEISSはZEISS XENOS用のロータリテーブルを開発しました。このアドオンによってこのロディンにある測定機は、他にないオリジナルの機械となりました。非常に複雑な部品を検査する場合でもスタイラスの交換回数を削減できたのです。「どれだけの時間を節約できたかはすでに明らかになっています」とLöffler氏は言います。
Stangl & Co. GmbH Precision Technology社は、1988年にJohann Stangl氏とStefan Kulzer氏によって設立されました。同社はStangl & Kulzerグループの中心となる会社であり、金属およびプラスチックの機械加工と軽量設計の分野で完全なソリューションを提供しています。この統合企業グループのコアコンピテンシーは精密技術です。グループの370人の従業員の約80%が、Stangl & Co. GmbH Precision Technology社で働いています。同社は、さまざまなセクターの顧客向けに、プロトタイプやワークを1回限りの小さなシリーズで製造しています。グループ内には他に、特殊なプロセスを使用して強化繊維などのプラスチック製の高品質軽量構造の開発・製造を手掛けるSKCarbon Roding GmbHと、炭素繊維と電気エンジンを使用した軽量設計を特長とする機能的なプロトタイプとコンセプトビークルの開発・構築を専門とするRoding Automobile GmbHの2社があります。同社は、少量生産かつ手作業で生産された軽量スポーツカー、Roding Roadsterの設計と構築を通じて、そのノウハウを示しました。2016年のグループの収益は合計で3,500万ユーロにのぼります。