Andrew Tool & Machining Inc.は座標測定機(CMM)を製造プロセスの重要な要素に位置付けていますが、これまでは、複雑な測定を必要とする、公差が厳しく、熱処理と短納期を要求するプロジェクトを手掛けたことはありませんでした。にもかかわらず、MSLプロジェクト(Mars Sience Lab)の受注獲得にチャレンジすることになりました。それは、ZEISSのCMMが受注獲得のための大きな原動力となると見込んでのことでした。
ZEISSの技術が火星探査車プロジェクトを支えています
状況
Carl Zeissは、Andrew Tool社の姉妹会社であるSuperior Tool社ですでにその機能についてデモを行っていました。「当社が所有するPRISMO は、Superior Tool社では品質管理部門のバックボーンとされており、最終的な目標は、この性能をAndrew社にも導入し構築することでした」と、Bruce Hanson社長は述べています。Andrew Tool社は30年を超える経験を持つ、非常にシンプルなものから非常に複雑な形状のものまで、あらゆる機械を取り扱うユニークな機械工場です。Andrew Tool社の顧客は航空宇宙分野、防衛分野、医療機器およびマイクロ電子産業など多岐にわたり、どの分野でも多くの場合、極めてきびしい公差が要求されます。
新しい、複雑なMSLプロジェクトでは、次世代のMars Rover(火星探索車)、Curiosityのアクチュエータ(ギアボックス)を製造する必要がありました。この新しい探査車の重量は10,000ポンド(約4.5トン)にもおよびます。これは現行の探査車のSpiritまたはOppotunityの5倍に相当し、10倍以上の重量の科学機器を積むことができます。
新しい課題
Andrew Tool社がNASAで新しくしようとしているアクチュエータの設計を成功させるためにこだわらなければならないパラメータは多数ありました。部品の多くには非常に深いポケットがあること、その半径が小さいこと、さらに公差が極めて厳しく、多くの歯車のピッチ円直径が異なっていることなどが、新しい課題として立ちはだかりました。さらに、比較的大きなサイズでも位置公差0.0005mm、幾何公差0.002mm、寸法公差0.0025mm以内という厳しい公差が、さらなるチャレンジングな課題でした。こうした要因はすべて、18か月という期間内で解決することが求められ、AS9100認証要件により、Andrew Tool社では、所有するCMMの性能を精度と速度において強化することが必要でした。このような経緯から、Andrew Tool社では、VAST XT gold アクティブスキャニングセンサを搭載したZEISSの ACCURAを購入することを決定しました。
長期的なメリット
「Carl Zeissの製品なしでは成功しなかったでしょう」とFelix氏は言います。「ZEISSがもたらした利点は大きいもので、CMMを使うごとに良い結果を得られているのが分かりました。」さらに、別のNASAサプライヤーがMSLアクチュエータ部品をいくつか見て、新たなAndrew Tool社の顧客となりました。そのサプライヤーは、部品の精密さと複雑さに感銘を受け、すぐにAndrew Tool社の技術に魅了されたのです。Andrew Tool社は、ZEISS CMMからのデータを活用することで自信を深めており、この新しいプロジェクトに取り掛かる準備はすっかりできており、新しい顧客へも完璧に対応できました。
米国ミネソタ州のミネアポリスに本社を置くAndrew Tool & Machining社は、製品工程の開発をコアコンピテンタンスとしています。