ファンビームCT（コンピュータ断層撮影）は、CTスキャン方式の一種で、X線撮影技術の中でも特に精密な画像が得られることで知られています。ファンビームCTは、扇形のX線ビームを用いて対象物をスキャンします。この扇形ビームが対象物を透過する際に、1次元のラインセンサーがX線を捉え、これによって得られるデータをもとにコンピュータが複数のスライス画像を生成します。そして、これらのスライス画像を重ね合わせることで、対象物の3次元的な詳細な内部構造を可視化することが可能になります。

ファンビームCT方式の最大の利点は、非常に高い空間分解能を実現できることにあります。これにより、非常に詳細な画像を生成することができ、内部に微細な欠陥があるかどうかを正確に評価できます。また、ファンビームCTは画像のノイズになるアーチファクトが少ないため、画像の品質が非常に高いです。そのため、例えば製造業での品質管理など、高精度が求められる用途に非常に適しています。

しかしながら、ファンビームCTの技術はいくつかの欠点も持っています。主な問題点としては、その複雑な装置構成が挙げられ、これにより高コストになる傾向があります。また、高品質な画像を得るためには比較的長いスキャン時間が必要とされるため、高速での検査が求められる場面には向かない場合があります。さらに、その大型の装置サイズのため、設置には専用の大きなスペースを必要とします。