視覚について理解する

人によって、ものの見え方が違うのはなぜでしょうか。

豊かな色彩、より良い夜の視界、はっきりとしたコントラストが見える - 視力に関してのポテンシャルを最大限に引き出すためには

2022年 9月 16日
  • 人によって、ものの見え方が違うのはなぜでしょうか。

色覚、立体視や、夜間視力は、人それぞれ違います。視力に関してのパフォーマンスは、どうして人によってこうも違い、どのようにしたらもっている視力を最大限に引き出すことができるのでしょうか。

1.0の視力がある人もいれば、色の識別ができなかったり、あるいはものが立体的に見えなかったりする人もいます。視力に関してのパフォーマンスに関してのこのような差は何が原因なのでしょうか。眼が健康でさえあれば、近視もしくは遠視の若い方なら、眼鏡を正しく装用することによって、ほぼ均一の視力品質を満喫することができます。適切な眼鏡は、視力パフォーマンスにおいてのどのような変化も効果的に矯正することができます。しかし、歳をとるにつれて、個人差がさらに大きくなってくるため、これらの矯正は次第に難しくなっていきます。80歳になれば、単に現実として、私たちは20歳の頃に比べて視力が衰えています。-歳をとることにより、視力、色覚、深視力、夜間視力などすべてが劣化していきます。40歳と50歳の間に、水晶体と毛様体筋の伸縮性は衰え始め、いろいろな距離に対して焦点の調整機能が低下します。本を顔から徐々に離したりすることも、すべてこの状態を表している典型的な兆候です。このことは歳をとるにつれ、悪くなっていきます。

生きている間に患い、眼鏡では矯正できない病気や他の障害による個人差異も発生します。白内障、緑内障あるいは加齢黄斑変性などがその例です。すなわち視力に関してのパフォーマンスの違いには一般的に病理学上の根拠があるのです。夜間視力は、網膜上杆体がいかによく機能するかによって左右されます。暗くなると、残光は網膜に達するまでに角膜と水晶体ですり抜けてしまいます。光が脳に送信されるために信号に置き換えられるのはこの部分です。これが杆体細胞と錐体細胞という二種類の視細胞の役割です。錐体細胞は、昼間での視力を、杆体細胞は夜間での視力のために機能します。まれにビタミンAの不足が夜間視力を低下させることがあります。このビタミン不足が解消すれば、暗がりでの視力も再び改善します。

女性と男性では色知覚が違います。

色知覚は例外です。女性と男性では、一般的に色彩の感じ方が違います。女性は世界を暖かい色で感じます。例えば、男性に比べて異なる濃淡の赤を区別することができます。男性は、一方、コントラストがはっきりしないもの、動きが速いものをより見ることができます。これは、人類の進化と関係している、と考えられています。原始時代、女性は緑色の樹木に実っている赤色の実をみつけなくてはならなかったのに対し、例として男性は野生動物を捕獲しなくてはなりませんでした。テストテロンも、また、胎児の脳における視神経網やの視中枢の細胞の生成を促進させる重要な役割を担っています。女性であれ男性であれ、色弱と色盲はその症状が異なります。色盲は、色を感知することが全くできません。色弱は、色のスペクトルのシフトに起因し、色はすべて識別できても、違った濃淡や微妙な色合いで異なります。これは、典型的な「男性の問題」です。男性の8~9%は、女性(ほんの0.5%~0.8%) に比べ相当な比率で赤緑色弱です。

3Dは誰にでもみえるものでしょうか。

現在、映画やテレビで3Dが大きく話題になっていますが、誰もが3次元でものが見えるわけではありません。片方の目に障害があり、それゆえもう片方の目に比べ、視力が劣る場合はなおさらです。時には、脳にとって、特別に整列された像を処理することや奥行のある典型的な印象を作り出すことも難しいことがあります。しばしば脳が新しい状況に慣れるまで、ある程度時間がかかるので、少しの我慢が必要なことがよくあります。

どのように視力に関してのポテンシャルを最大限に引き出すか。

もうひとつの視力に関しての重要な要素は、いかにうまく細部を識別するかです。同じ原理が前述と同じようにこのことに働きます。適切な眼鏡がなければ、装用者の視力に関してのポテンシャルを最大限に利用することはできず、細かい違いが見失われてしまいます。結果として、ひとりひとりの視力の違いは眼鏡で矯正できます。実際、多くの人の個別の視力に関してのポテンシャルは、自動的には、100%でとどまらず、それを上回ります。このゴールを達成するために、視力検査と屈折判定は眼鏡の装用者が、視力に関するポテンシャルが最大限に発揮できるように、できる限り正確にとりおこわれなければなりません。

ひとりひとり見え方が違う、というのはどうしてわかるのでしょうか。

視力を判断するためのいろいろな標準のテストが存在します。ZEISSでは視力、立体視力、コントラスト視力を迅速かつ正確に検査できるi.Polatest®を使用しています。色覚は、石原式色覚異常検査表で検査します。これは、大きさの違う、微妙に色合いが違うドットが配列されている円盤です。正常色覚の方は、特定の数字や文字が認識できますが、色覚異常の方は識別できません。色覚異常を確認することができるアノマロスコープとよばれる装置は色覚が重視される職種(例えば鉄道機関士、パイロット、あるいは電気技術者など)に対する適性を調べるために雇用主がよく利用します。

私たちが満足できる視力の質のために最も重要である視力をテストすることは比較的簡単です。ここでは、遠方の物体がどの程度見えるか調べます。細かいところまで、認識できるのでしょうか、できないのでしょうか。アイケアの専門家は、このことをテストするために自覚視力テストとして知られている手順を使用します。患者はいろいろなトライアルレンズを次々に眼の前にはめられて、それぞれの場合でよく見えるか見えないか、を尋ねられます。

どのように夜間視力、立体視、そして色覚が改善されるのでしょうか?

プロが調整したメガネならば、通常夜間視力、立体視、そして色覚も矯正できます。色覚は、装用者それぞれの色弱に合わせたフィルターレンズで最善化することができます。眼鏡が光学的に調整され、反射防止コーティングがされており、患者の現在の屈折ステータスが矯正されていれば、これらは色覚の改善に貢献します。立体視力と夜間視力もまた完全に調整された眼鏡によって改善されます。眼鏡がすべての「収差」として知られているすべての視力障害を取り除くことが重要です。そのため、これらの異常を初期の段階で見つけることが非常に重要なことです。i.Profiler®およびi.Scriptionは患者さんの瞳孔が開いている状態で眼を測定するため、暗いところでものを見るときと同じ条件で必要な情報を得ることができます。結果として、日中の照明条件でも暗がりあるいは夜間でもよく見えるレンズが提供されます。同時に、網膜上の光輪視効果も軽減されるので、コントラスト視力も、また、しばしば、向上します。

i.Scription技術のないレンズは、主観的な屈折のみをベースに異常を矯正します。屈折値は、通常明るい環境の中で、トライアルレンズを使って調べられます。そのため、そこで処方されるレンズは、明るい日中では適切であっても、必ずしも薄暗がりの中でよく見えるものとは限りません。これに対して、i.Profiler® は患者さんの瞳孔が開いている状態で眼を測定するため、暗いところでものを見るときと同じ条件で必要な情報を得ることができます。結果として、日中の照明条件でも暗がりあるいは夜間でもよく見えるレンズが提供されます。同時に、網膜上の光輪視効果も軽減されるので、コントラスト視力も、また、しばしば、向上します。

i.Profiler®もまた、網膜が重要な役割を果たすので、色覚を十分にテストすることはできませんが、豊かで、深みのある色覚には鮮明な視力が不可欠であることが明らかになっています。すなわち、より精密なレンズは、多くの場合において、色覚をより改善することを助けます。

また、子供の眼(おおよそ4歳以上の)は、i.Profiler®を使った測定による効果を受けます。測定プロセスが高度に自動化されているので、アイケアの専門家は、測定している間に、小さな患者さんに集中できます。

眼鏡による視力矯正が不可能なのは、怪我または、歳をとることによって発生することが避けられない白内障のような病気だけです。水晶体はその場合、どんよりと曇ってしまいます。このような場合の唯一の治療方法は、曇った水晶体を透明な人工の水晶体に置き換える白内障手術です。


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