ライフスタイルとファッション

調光メガネレンズ:すべての人に快適でリラックスした視界を

BETTER VISIONは、ZEISSでZEISS PhotoFusionの責任者であるシニアプロダクトマネージャーのフォルカー・ガール氏に、最近の調光レンズの特徴を説明していただきました。

2018年 10月 16日
  • Front: smiling woman with sunglasses, background: a man with glasses

メガネ装用者なら、すべての方がご存知のように、理想は、メガネをかけていることを忘れさせてくれる、どのような場面でも適切に反応してくれるメガネでしょう。普通のメガネとサングラスを交互にかけたり外したりしなくてはならないのは、とても面倒なことです。メガネをかけ換えるたびに、数秒間は視界が不完全になるほか、要らなくなったほうのメガネをケースにしまったり、と時間が無駄で手間がかかり疲れます。調光レンズは、このような手間を省く優れた製品です。では、優れた調光レンズのメガネを選ぶときにはどのような点に気をつければよいのでしょうか。このことについて、BETTER VISIONは、ZEISSのシニアプロダクトマネージャーであり、ZEISS PhotoFusionの責任者でもあるフォルカー・ガール氏に詳しく話をうかがいました。

BETTER VISION:調光レンズは、随分以前から出回っています。透明から色が濃くなっていく様子はまるで魔法のようですが、装用者の多くは、古臭くて魅力があまりないと感じているといわれます。調光レンズの最新世代には、どのような特徴があるのでしょうか。昔のモデルに比べ、改善されたのはどのような点でしょうか。

フォルカー・ガール氏:PhotoFusionという名で知られるZEISS調光レンズの開発に乗り出す前に私達はメガネ装用者の方に、理想的な調光レンズとはどのようなもので、どのような品質や製品仕様を備えていなくてはならないか聞いてみました。

装用者が最も望む優先度の高い特徴は、日光に対する反応が速く、室内に戻ったときに即座に暗い色から透明に戻らなくてはならない、という点です。屋外に出て太陽を浴びた瞬間にレンズが暗くなり、室内に戻れば、できるだけ速く透明になってほしいのです。例えば、店に入った途端に闇に包まれてしまったら、表現できないほど不快でしょう。

もうひとつ指摘された点、すなわち調光レンズは古臭くておしゃれでない、と思われるのは、旧世代の調光レンズを使用したときに発生していた問題に原因があります。明るくなるはずなのにいつまでも色がつき、中途半端な状態に長時間とどまっていたからです。これらの古いレンズは、クリアな状態に戻ってからも、ブラウンがいつまでも黄色く残り、魅力がない、野暮だ、というイメージにつながったのです。

今日のメガネ装着者が調光レンズは、室内では普通のメガネと同じように完全に透明に戻らなくてはならない、と考えるのもそのためです。これは、レンズは光環境の変化にすばやく反応するものでなくてはならない、という回答の次に装用者の方が大切とした重要な点でした。

最近の調光レンズは、普通のサングラスと同じレベルの紫外線およびぎらつき防止効果を期待されています。

PhotoFusion開発のベースとなったお客様のご要望で最も重要なのがこの点でした。そして、これらは、メガネ装用者が調光レンズを購入する際に製品を比較する場合、注目および確認しなくてはならない点です。

BETTER VISION:レンズが光環境に速く反応するためにはどのような工夫がされているのでしょうか。

フォルカー・ガール氏:その秘密は、レンズの中に含まれている、高エネルギーの紫外線に反応する特殊な感光分子にあります。日光がレンズに当たると、これらの分子の表面積が拡張し、レンズが暗くなります。日光や紫外線が強ければ強いほど、レンズの色は濃くなります。紫外線が遮断されれば分子は元のサイズに縮小します。

感光分子は、この課題をできるだけ速く処理できるよう、私達がPhotoFusionレンズのために最適化した特殊な科学物質です。

BETTER VISION:紫外線というテーマに戻れば、ZEISSの調光レンズは、ZEISSサングラス用レンズと同じように紫外線から守ってくれるのでしょうか。山岳地方の極端に明るい日光の中でも装用できますか。

フォルカー・ガール氏:私達のサングラス用のレンズと同じように、PhotoFusionレンズには100%の防紫外線効果1があります。PhotoFusionの紫外線フィルター効果は、レンズが透明なときでも、フルに有効です。日光は、標高が高くなればなるほど紫外線が強くなるため、山岳地帯では特に強いものです。PhotoFusionを選べば、不必要なリスクを取らなくて済みます。でも紫外線からの保護だけがリラックスした視界の前提ではありません。同時にまぶしい日光のぎらつきからも目を守らなくてはならないでしょう。標高の高い極端な環境下で活動をする人々が、特殊な適用場面に応じてデザインされたレンズの恩恵を蒙る可能性が高いのはそのためです。氷河の上にのぼったり、雪原の中で長距離ハイキングを行うような場合には、濃い色と同時にミラーコーティングを施すなど、両面のプロテクションが含まれることがあります。雪は鏡のように光を反射し、場合によってはその強度が強まることもあります。

私達のサングラス用のレンズと同じように、PhotoFusionレンズには100%の防紫外線効果1があります。PhotoFusionの紫外線フィルター効果は、レンズが透明なときでも、フルに有効です。

フォルカー・ガール Senior Product Manager at Carl Zeiss Vision

BETTER VISION:お考えでは、調光レンズの利点を最も得られるのはどのような方でしょうか。

フォルカー・ガール氏:   調光レンズは、快適でリラックスした視界を提供します。屋内であろうと、屋外であろうと、視界が常に適切であることを可能にします。ですから、私は、調光レンズは、建物からの出入りが激しく、そのためにメガネをいちいち掛け換えるのを面倒だと思っている人にとって、大変素晴らしいソリューションだと思います。そして、常に目を凝らしたり、細めていなくてならない光に敏感な方にとっても、とてもよい選択であるといえます。目の疲れは、ひどい場合には頭痛のもとにもなります。

BETTER VISION:そして、小じわもできますしね。

フォルカー・ガール氏:  おそらくそうです。でもZEISSの私達の主な焦点は、最善でリラックスした視界を達成することです。これで小じわが減るのだったら、本当に追加的な恩恵ですね。

BETTER VISION:PhotoFusionに使われる分子は、どれくらいの時間、効力を発揮できるのでしょうか。

フォルカー・ガール氏:疲弊してしまうことはありません。レンズ寿命にわたり調光能力は目立って低下することはありません。とはいいますが、調光レンズも双眼鏡、顕微鏡やカメラレンズと同じ種類の光学製品であり、ある程度のケアと保護が必要です。もちろん、硬いレンズコーティングと反射防止機能を備えたすぐれた表面加工がレンズの寿命を延ばし、快適性を増すことも疑いもない事実です。

調光レンズも双眼鏡、顕微鏡やカメラレンズと同じ種類の光学製品であり、ある程度のケアと保護が必要です。

フォルカー・ガール Senior Product Manager at Carl Zeiss Vision

BETTER VISION:自動車運転中に調光レンズを装用することについて、多くの議論があります。PhotoFusionレンズはドライバーにも適していますか。

フォルカー・ガール氏:  もちろん、PhotoFusionレンズを装用していても車の運転は可能です、このレンズは、日常のすべての場面で視界に関するニーズに対応した包括的なソリューションとしてデザインされていますから。しかし、すでに述べたようにPhotoFusionは紫外線に反応するため、車の中では、フロントガラスが紫外線の一部を吸収してしまうと、車の中では、屋外と違ってあまり暗くなりません。そのため、普通のサングラスにくらべ、ぎらつきからの防止はやや弱めになりますので、太陽の中での長距離ドライブをする時にはサングラスをかけた方が快適でしょう。眼鏡店では、そのような状態のために、追加的にメガネをもう一組もつべきかどうか、アドバイスをしてくれます。

BETTER VISION:PhotoFusionは、すべての仕様とZEISSのレンズコーティングと組み合わせることはできますか。

フォルカー・ガール氏:  私たちにとり、お客様がZEISSの製品を組み合わせるにあたって、できる限りの自由度が許されることは、大変重要なことです。そのため、原則的にPhotoFusionはすべての仕様と組み合わせることができます。私たちのすべてのレンズタイプ、すべてのレンズコーティング、すべての度数とすべてのフレームと組み合わせ可能です。すなわち、すべての方がPhotoFusionレンズの追加的な快適性の恩恵を得ることができるのです。

BETTER VISION:PhotoFusionは、開発過程の終着点を表しているのでしょうか、それとも調光レンズはこれからも改善されるのでしょうか。

フォルカー・ガール氏:  ZEISSはメガネレンズの開発ではすでに100年以上の革新の実績を積み上げてきました。PhotoFusion  で、私達の調光レンズの分野における専門知識は非常にすぐれたレベルに達しており、今後とも、それに基づいて研究をすすめていくつもりです。私たちにとってのゴールとは常に性能をさらに高めていくことである、という点ではどこかスポーツと同じかもしれません。現在私達は世界をリードしており、今後ともこの地位は守り続けたいと思っています。


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    地球上に実際に届くのはUVAとUVBだけですが、紫外線は実際には3種類あります。短周波の高エネルギーのUVC(100~280nm)はほぼ完全に地球の大気に吸収されてしまいます。太陽の紫外線、という表現は、地球の表面まで届く、UVAとUVBだけをさしています。UVAとUVBは、メガネによってブロックされない限りは、ある程度まで目によって吸収されます。