健康と予防

結膜炎、ものもらい、眼瞼感染症など

もっとも一般的な眼感染症。

2022年 11月 21日
  • 結膜炎、ものもらい、眼瞼感染症など、もっとも一般的な眼感染症

目が痒くなったりヒリヒリしたり、充血するのは不快であると同時に不安にさせられるものです。結膜炎、ものもらい、眼瞼感染症などの眼感染症は一般に考えられている以上によくあることで、原因は多岐にわたります。BETTER VISIONが、もっともよく見られる感染症について説明します。感染症はどのようにして起こるのでしょうか。何が感染症を引き起こし、どんな治療法があり、どんな優れた予防策があるのでしょうか。

正しい治療を行えば、たいていの眼感染症はあっという間に治せます。とはいえ、目と顔は敏感な部位であることから、強い痒みや痛みなどの眼感染症の症状は非常に不快に感じられます。幸いにも、一般的な眼感染症はごく簡単に予防することができます。その仕組みをご説明しましょう。

結膜炎

Close up of the red eye of a man affected by an infection, conjunctivitis
  • 結膜炎の症状

    結膜炎の症状には、目の充血、ヒリヒリとした痛み、痒み、結膜の腫れ、眼圧上昇、光に対する過敏症、目やにによる両瞼の癒着などが挙げられます。

  • 結膜炎の原因

    結膜炎は細菌 (クラミジア、インフルエンザ菌、肺炎球菌、淋菌、ブドウ球菌)、ウイルス (ヘルペス、アデノウイルス、麻疹、風疹、水痘)、寄生生物 (ハエ幼虫、蛆虫)、アレルギー (通常花粉症と関連している鼻結膜炎)、および外的刺激によって起こります。非感染性の原因には、腐食性物質、怪我、目に入った異物はもちろん、煙、紫外線、埃や風も含まれます。涙管に影響を与える疾患も、結膜炎の引き金になることがあります。結膜炎は、もっとも一般的な眼感染症のひとつです。

  • 結膜炎の治療

    治療方法は、結膜炎の原因によって異なります。結膜炎は、細菌性、ウイルス性、アレルギー性のものに分類されます。感染が治るまでは、コンタクトレンズの使用を控えることが推奨されます。

    細菌性結膜炎:
    軽度の細菌性結膜炎は通常自然に治り、治療を必要としません。抗生物質入りの点眼薬またはジェルの処方を受ければ、治癒を早めることができます。重症の結膜炎は抗生物質治療で治します。

    ウイルス性結膜炎:
    ウイルス性結膜炎は通常、適切な薬剤を使用しなければ治療できません。保冷剤と人工涙液が症状緩和に役立ちます。ヘルペスウイルスが感染症を引き起こした場合は、アシクロビルを処方できます。

    アレルギー性結膜炎:
    アレルギー性結膜炎の場合は、まずはアレルゲンを特定する必要があります。アレルゲンが判明したら、肥満細胞安定剤および抗ヒスタミン剤を使った治療を開始できます。これらの薬剤は、患者の免疫システムがアレルゲンと戦うのを手助けします。目の充血をとるコルチゾン入りの点眼薬の処方を受け、症状を緩和することができます。人工涙液および保冷剤も効果的です。

  • 結膜炎の予防

    ウイルス性およびバクテリア性の結膜炎を防ぐ方法は実質的にありません。結膜炎が外的な刺激 (煙、風、紫外線) によって引き起こされた場合は、それらの刺激物との接触を避けることが最善です。視力保護機能のあるスポーツメガネまたはサングラスを着用すると良いでしょう。

ものもらい

ものもらい
  • ものもらいの症状

    ものもらい (麦粒腫) になった人は患部の痛みと圧迫感を訴えます。上瞼と下瞼のどちらが感染しても、両方に影響が生じます。さらに、内麦粒腫と外麦粒腫を区別する必要があります。内麦粒腫は瞼の内側に発生し、 外側からは見えないことがほとんどですが、まぶたが真っ赤に充血して腫れます。その一方、外麦粒腫はひと目でそうとわかります。

  • ものもらいの原因

    ものもらいは、細菌感染 (通常はブドウ球菌、まれにA群連鎖球菌) によって引き起こされる眼瞼腺の化膿性炎症です。膿瘍が穀物の粒のように見えるため、学名はラテン語で大麦を意味するhordeumに由来します。感染は、不潔さなどさまざまな原因で起こります。ものもらいを引き起こしかねない危険因子も多数あり、 真性糖尿病や免疫不全が含まれます。いずれの場合も、眼瞼腺の機能に問題が生じるため、バクテリアが繁殖しやすくなります。

  • ものもらいの治療

    ものもらいの膿を自分の指で押し出そうとしてはなりません。膿により感染が広がるからです。ものもらいは通常自然に治り、特別な治療を必要としません。とはいえ、加熱ランプ照射、消毒アイジェル、抗生物質入りの点眼薬は治癒を促します。数日経ってもものもらいが小さくならない場合は、眼科医の診察を受ける必要があります。

  • ものもらいの予防

    ものもらいは細菌感染なので、衛生状態を良好に保ち、アイケアを行うことで感染のリスクを減らすことができます。言い換えれば、定期的に手を洗うように心がけましょう。目に触る前は特に入念に洗うことです。免疫不全はもうひとつの危険因子です。これには一般的な予防策が役立ちます。バランスの取れた食事をとり、定期的に運動をすることが大切です。

眼瞼感染症 (眼瞼炎)

眼瞼感染症 (眼瞼炎)
  • 眼瞼感染症の症状

    瞼の赤み、かさつき、腫れ、痒みまたは痛みなどは眼瞼感染症の印です。目に異物が入っているような感覚がある、瞼のふちが濡れて見える、睫毛の生え際にふけが出る、睫毛が抜け落ちる、目を覚ますと睫毛がくっついているなどの症状も眼瞼感染症の兆候の可能性があります。

  • 眼瞼感染症の原因

    眼瞼感染症は、瞼の内側の皮脂腺が詰まった時に起こります。詰まりは刺激、感染、あるいは皮脂の過剰生産によって引き起こされます。瞼の下にある特殊な腺が皮脂を分泌し、これがまばたきの度に目全体に広げられることで、瞼は目の上をなめらかに滑ることができます。皮脂が過剰に作られると、腺がお互いに張り付いてしまいます。眼科医はこれを非感染性の眼瞼炎、または脂漏症と呼びます。眼瞼感染症は、大抵は複数の異なる要因に起因します。医師は、眼瞼感染症と脂漏症 (seborrhoea) が、ブドウ球菌 (staphylococcus) への感染とドライアイ (Sicca syndrome) と同時に起こるプロセスを「トリプルS症候群」と呼んでいます。埃、煙や風もまた、眼瞼炎を引き起こす場合があります。

  • 眼瞼感染症の治療

    この感染症は、瞼の内側や角膜の検査、あるいはまぶたの縁のスミア検査により診断されます。眼科医は通常、抗生物質入りのジェルまたは錠剤を処方します。涙液膜に障害がある場合は、代用涙液 (点眼薬) の処方が推奨されます。患者は、細心の注意を払って瞼を掃除することで、治癒を早めることができます。温湿布を毎日最大10分目に当てると、皮脂腺の中に溜まっている分泌物を溶かす助けになります。次に、綿棒を睫毛に向かって動かし、液化した皮脂を拭き取ります。

  • 眼瞼感染症の予防

    眼瞼感染症は、原因となる外的刺激を避けることで食い止められます。これには埃や煙などの刺激物および、空中のその他の不純物が含まれます。風に当たらないようにすることも、急性の眼瞼感染症を防ぐ助けになります。慢性的な眼瞼感染症を抱えている場合は、まぶたを毎日掃除することで症状を抑えられます。

角膜感染症 (角膜炎)

Close up of male brown bloodshot eyes and redness with vessels. Loremipsum
  • 角膜感染症の症状

    角膜感染症の症状は、原因と感染が起こった部位によって異なります。角膜感染症はしばしば結膜の炎症 (結膜炎) を伴うため、患者の目は充血して涙ぐみ、膿のような水っぽい分泌物が出ることが多々あります。通常の角膜の場合、感染は角膜の表面に留まることがほとんどです。表在感染の場合は、角膜の外側の層 (角膜上皮) のみがやや濁ります。しかし、例えば損傷の結果として角膜のその下の層 (角膜の実質) が炎症を起こすと、大規模な混濁が起こり、白い点として認められます。最も内側の層 (角膜内皮) が炎症を起こすと、角膜が腫れます。角膜炎はしばしば強い痛みを伴い、視力が大幅に低下することもあります。

  • 角膜感染症の原因

    角膜感染症の主な原因は、例えばコンタクトレンズの不十分なお手入れに起因する細菌感染です。一般的な細菌としては、肺炎球菌、ブドウ球菌、連鎖球菌などが挙げられます。真性糖尿病や免疫不全などの疾病は、細菌性の角膜感染症の危険性を高めます。ウイルスが感染のきっかけになることもあります。最も一般的なのは、アデノウイルス、単純ヘルペスウイルス、水痘帯状ヘルペスウイルス (水痘ウイルス) です。非常に稀なケースでは、真菌 (カンジダアルビカンス) によって角膜感染症が引き起こされることもあります。病原体は、プールの水やコンタクトレンズのケア用品などの異物や汚染された水に混じって目の中に入り込みます。

    非感染性の要因としては、物理的な刺激 (傷、コンタクトレンズ、睫毛などの異物)、アルコール依存、長時間のコンピューター作業、不十分な涙液膜などが挙げられます。涙菅が十分な涙液を分泌できない、または涙液膜の質が十分ではない場合、慢性的なドライアイの原因となり、結果として角膜表面に傷がつく恐れがあります。これはまた、瞼の変形によっても悪化します。涙液膜が目全体に適切に広げられないからです。

  • 角膜感染症の治療

    角膜感染症は、原因によってさまざまな治療法を採用することができます。

    細菌性の感染
    細菌性の角膜感染症は、抗生物質入りの点眼薬で効果的に治療できます。点眼薬が病原体が広がるのを防ぎ、症状を素早く緩和します。

    ウイルス性の感染
    ウイルス性の感染は、通常アイクリームと錠剤で治療します。多くの医師は、水頭症および単純ヘルペスウイルスの治療に使用されるアシクロビルを処方します。

    慢性的なドライアイ
    この場合は、涙液膜を安定させ、目の潤いを保つ特殊な点眼薬が患者に提供されます。

  • 角膜感染症の予防

    細菌性の角膜感染症の最も一般的な原因は、不衛生な状態でコンタクトレンズをつける、外す、保管することです。コンタクトレンズユーザーは、コンタクトレンズを適切に管理することで細菌性角膜炎を予防できます。具体的には:

    • メーカーが定めた装着時間を超えてコンタクトレンズをつけたままにしない
    • 洗浄液の説明書きに従う
    • コンタクトレンズのケースを定期的に交換する
    • レンズに触れる前に手を石鹸でよく洗う
    • コンタクトレンズが洗浄液に1週間以上浸かっていた場合は、使用前にレンズをもう一度洗い直す
    • 洗浄液を決して複数回使わない

ブドウ膜炎

Closeup of irritated or infected red bloodshot eyes - uveitis
  • ブドウ膜炎の症状

    ブドウ膜炎の兆候としては、目の充血、涙液の増加、まぶしさの悪化、視界のかすみ、目に圧力をかけた際の痛みなどが挙げられます。患者はしばしば、ゴミや雲のようなものが見える飛蚊症を訴えます。

  • ブドウ膜炎の原因

    ブドウ膜炎は、目の内部に影響を及ぼし、ブドウ膜の一部に炎症を起こす病気を総称する用語です。原因は多岐に渡り、ここでそれぞれを詳しく取り上げることはできません。眼科医は、前部、中間部および後部のブドウ膜炎を区別しています。

  • ブドウ膜炎の治療

    ブドウ膜炎はタイプによってさまざまな治療選択肢が考えられます。ブドウ膜炎の治療は、目の中の炎症を抑えることで症状を軽減することを目的とします。そこで、瞳孔を広げるために使用される (アトロピン、スコポラミン、トロピカミドなど)、抗炎症薬を含む点眼液が役に立ちます。ブドウ膜炎が感染によって引き起こされた場合は、抗生物質または抗ウイルス薬が役立ちます。

  • ブドウ膜炎の予防

    今のところ、ブドウ膜炎を予防する方法はありません。

眼感染症、感染症

eye with infection
  • 眼感染症の症状

    感染症の症状はその原因によって決まります。眼感染症にはさまざまな原因が考えられるため、一般的な症状というものはありません。とはいえ、多くの眼感染症においては結膜が炎症を起こし、程度の差はあるものの、焼けるような感覚と水っぽい膿性分泌物を伴います。細菌に感染すると目が赤くなることが多い一方、ウイルスに感染すると目はピンクになります。

  • 眼感染症の原因

    眼感染症はウイルス、細菌、寄生生物、または菌類によって引き起こされます。アレルギーもまた、眼感染症を引き起こすことがあります。眼感染症のもっとも一般的な原因はウイルスであり、症状は瞼の内側または目の表面に現れます。ヒストプラスマおよびヘルペスウイルスは、性感染症であるクラミジアや淋病と並んで眼感染症の最も一般的な原因です。

  • 眼感染症の治療

    感染症の治療法は原因次第で変わります。感染の重症度により、抗生物質や点眼薬で治療する場合もあります。症状が3日以内に解消しない場合は、この治療選択肢が採用されます。細菌および多くのウイルス感染は、特別な治療なしに治ることがほとんどです。急性症状のある患者は、患部を冷やすことで症状を緩和できます。ハーブのアイブライトなどの民間療法 (エッセンスまたはお茶として入手可能) も、症状を軽減させます。患者がアレルギー性の眼感染症を患っている場合は、抗ヒスタミン剤でアレルギーを治療することができます。痒みやくしゃみなどの体のアレルギー反応を劇的に軽減します。

  • 眼感染症の予防

    ほとんどの眼感染症は、汚れた手で目に触ることで起こります。この場合は、衛生状態に気を使うことが最も効果的な予防策になります。感染した人や感染の恐れがあるものに接触した場合は、定期的に手を洗い、顔や目に触れないように気をつけましょう。

注意:  これらの症状のほとんどは無害に思えるかもしれませんが、重い病気の兆候である場合もあります。不安がある場合、または症状が悪化した場合は至急医師の診察を受けてください。症状の原因が突き止められない場合は特に、専門家の判断を仰ぐことが重要です。医師は患者の病歴を取ることで的確な診断を下すことができます。


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